「青嵐(せいらん)」が世界のスパコンランキングにランクインしました!
東京工科大学のスーパーコンピュータ「青嵐(せいらん)」を世界の舞台で評価するために、今回初めて 3つの国際スパコンランキングに挑戦しました。その結果、すべての部門でランクインという、とても良い成果を得ることができました。
まずは簡単に順位をご紹介します。
・TOP500:374位
https://top500.org/lists/top500/list/2025/11/?page=4
・HPCG:83位
https://top500.org/lists/hpcg/list/2025/11
・HPL-MxP:22位
https://hpl-mxp.org/results.md

■ 3つのランキングの違いをわかりやすく説明します。
スーパーコンピュータの性能ランキングにはいくつか種類がありますが、今回挑戦したのは TOP500、HPCG、HPL-MxP の3つです。それぞれ、評価するポイントが大きく異なります。
● TOP500(HPL)
TOP500 は、世界で最も有名なスパコンランキングです。ここでは、巨大な「連立一次方程式」を LU分解という方法で解くスピードを測ります。簡単に言うと、「スパコンが理論的にどれだけ速く計算できるか」を全力で試すテストです。精度は FP64(倍精度)の高精度計算のみを使用します。
● HPCG(High Performance Conjugate Gradient)
HPCG は、実際の科学技術計算に近い処理をどれだけ速くできるかを測るテストです。疎行列を使い、共役勾配法という別の方法で連立一次方程式を解きます。TOP500のように「理想条件での全力疾走」ではなく、現実のシミュレーションのようにメモリや通信なども含めて計算するため、より“実際の仕事で強いスパコンかどうか”を測る指標です。こちらも FP64 の高精度で評価されます。
● HPL-MxP
HPL-MxP は近年登場した新しい指標で、AI計算に使われる混合精度(FP16・FP8とFP64の組み合わせ)を使って連立一次方程式を解きます。AIとHPCを両方活用する時代に合わせてつくられた評価方法で、GPUの性能を大きく発揮できるのが特徴です。青嵐はこの部門で 22位 と非常に高い順位に入り、AI時代にも強いスパコンであることが示されました。
■ まとめ
TOP500(理論性能)、HPCG(実利用性能)、HPL-MxP(AI時代の総合性能)の3つを組み合わせることで、スパコンの力を多面的に理解できます。
■ 最後に
今回「青嵐」が世界ランキングに初めて挑戦し、3つすべてでランクインしたことは、大学の研究環境にとって大きな一歩です。今後もAI、デジタルツイン、数値シミュレーションなど、さまざまな分野で活用を進め、学生のみなさんと一緒に新たな挑戦を続けていきたいと思います。
