毛髪科学研究室

岩渕徳郎 教授

 免疫抑制剤シクロスポリンAは毛周期調節に関係していますが、その仕組みは明らかではありません。私たちは、シクロフィリンのリガンドであるシクロスポリンAを用いて、毛周期調節におけるシクロフィリンおよび下流にあるシグナル分子の役割を明らかにしようとしています。その他、白髪研究に関連して、メラニン取り込みに働く分子と白髪発生の関係、基底膜および皮膚内の酸素濃度と毛周期の関係性、頭皮状態と毛髪性状の関係性、くせ毛の性状解析と、くせ毛の発生原因について研究を進めています。その他、毛髪表面の疎水性変化と毛髪ダメージ感受性変化についても研究を進めています。

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化粧品材料化学研究室

柴田雅史 教授

伊澤千尋 助教

 天然素材と界面化学・ナノテクノロジーを融合させて、敏感肌・高齢肌でも安心して使える化粧品のための成分および製剤開発に取り組んでいます。①肌と環境に優しい紫外線防御剤、ベンガラ(酸化鉄)やシークワサー果実抽出成分(フラボノイド)をナノ細孔粉体と複合化することで、肌へと浸透や環境への悪影響のないサンスクリーン剤を開発しています。②界面活性剤フリー乳化のための植物パウダー、食品廃材であるカリン果実の繊維を、肌への刺激がない粉体乳化用のパウダーに改質する研究をおこなっています。③植物色素を使った高機能色材、穀物の殻から得られる植物色素を、光で色が変わるフォトクロミック色材へと活用する研究をおこなっています。④脱プラスチック・石油原料を目指した植物系ゲル化剤、スティック化粧品には、ゲル化剤として石油ワックスやポリマーの使用が不可欠です。食用でもある植物ワックスの結晶化挙動を制御することで、石油素材に代わるゲル化剤として活用する研究に取り組んでいます。

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抗酸化物質化学研究室

藤沢章雄 教授

飯田沙也加 助手

 生物は酸素の毒と戦って生きている。戦うための武器、それが抗酸化物質!

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皮膚進化細胞生物学研究室

松井毅 教授

 皮膚は人体の中での最大の臓器であり、外側から表皮・真皮・皮下組織からなる構造を持っています。表皮は多層構造を持った上皮組織であり、その最上層には角層(角質層)と呼ばれる死んだ細胞層が存在します。この角層はデボン紀後期に両生類が陸上進出を果たす際に獲得され、両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類のような陸上脊椎動物のみが持っており、陸上生活を営むためのバリアとなっています。角層は顆粒層の最上層のSG1細胞が特殊な細胞死コルネオトーシスを起こすことで形成されます。私達は、マウス皮膚表皮から顆粒層細胞を分離し、細胞生物学的な解析が可能な系を構築しました。さらに、生体内におけるコルネオトーシスを観察する系も構築してきました。これらの系に加えて、コルネオトーシスが起きる瞬間に対して、光学顕微鏡によるライブイメージングと電子顕微鏡解析を組み合わせる系(光-電子相関顕微鏡法)も構築しています。このような様々な手法を、両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類といった陸上脊椎動物の皮膚表皮に適用することにより、進化細胞生物学の観点から、皮膚の適応進化メカニズムを明らかにしようとしています。

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皮膚生理学研究室

吉田雅紀 教授

 化粧品の開発を目指した皮膚の基礎研究を行っています。目に見える皮膚の変化を起こしているメカニズムの解明が化粧品や治療薬の開発につながります。 具体的には、表皮の増殖や分化の調節機構や、皮膚の透明化技術を使って、色素沈着時の色素細胞遊走調節機構や乾燥性敏感肌での神経線維の動きを調べていて、それぞれシミやあれ肌、色素沈着、白斑、敏感肌の改善方法の開発を目指しています。またそれ以外のテーマとして、バイオインフォーマティクスを用いて、産毛を材料とした新しい肌診断方法についても検討しており、テーラーメード化粧品や皮膚病の診断方法への応用を目指しています。

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ユニバーサル化粧品科学研究室

岡田麻衣子 講師

 「ユニバーサル」という研究室名には、「年齢や性別を問わず、すべての人が健康で美しい肌を手に入れるお手伝いをしたい」という願いが込められています。当研究室では、スキンケアにおける性ホルモン、つまり男性ホルモンや女性ホルモンの肌への影響に注目しています。肌質は性ホルモンのバランスによって変化するため、その仕組みを理解し、化粧品の開発に活かすことを目指しています。
 例えば、男性ホルモンは皮脂の分泌を促進し、オイリースキンを引き起こすことが知られています。一方、女性ホルモンは肌の水分保持を助ける役割を果たします。このような性ホルモンバランスは、思春期や妊娠、さらには更年期といった人生のさまざまなステージで変化し、肌の状態にも影響を与えます。こうしたホルモンバランスの影響を解明することで、性別やライフステージにかかわらず、誰にでも合う「ユニバーサル」なスキンケア製品を提案できるのではないかと考えています。
 さらに、植物由来の成分には性ホルモンに似た働きをするものもあり、これを利用して、ホルモンバランスを整え、肌を健やかに保つための化粧品を開発することを目指しています。
 性ホルモンが肌に与える影響に興味がある方は、ぜひ私たちの研究室で一緒に研究を進めてみませんか?

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